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通訳に聞く<下> 韓国人選手担当 李成樹さん (2010/06/24)

他チームの韓国人通訳とも交流し、伝え方を学んでいるという李通訳

選手と良い距離感築く

 通訳の仕事を始めて2年目。選手が心を許せる存在になりたいと、一緒に休日を過ごしたり、相談役になったりと、日々奮闘する。「通訳に聞く」2回目は韓国人選手担当の李成樹(リソンス)通訳に登場してもらった。(舩本篤史)

 ――通訳としての最初の仕事は。

 「昨年1月に趙晟桓(チョウソンファン)が初来日したとき、新千歳空港に迎えに行きました。報道陣も取材に来ていて、日本の印象などを訳しました。事前にチームの鈴木通訳から『選手が話した内容をまず自分が理解し、正確に伝えることが大事』とアドバイスを受けていたので、うまくできました」

 ――最初は戸惑いもあったのでは。

 「ぼくは日本で生まれ育ったので、韓国語を使っていたのは、学校の中だけ。韓国で生まれ育ったネイティブとの差を感じたこともありました。例えば、在日韓国人が『落ち着け』という意味で使う言葉が、ソンファンには『あまりよくない』と伝わったことがあった。言葉が通じなかったら、話し合い疑問を解消しました。韓国のサッカーリーグのホームページで、サッカー用語の使い方を勉強したりもしました」

 ――仕事を通じて一番気を使っていることは。

 「昨季、韓国人はソンファンだけ。なるべく一緒にいて、早く打ち解けようと思いました。彼が好きなすしを食べに行ったり、小樽に観光に訪れたりと、良い距離感を築けるように心がけました。あるとき、『いつか移籍することになったら、一緒についてきてくれないか』と言われたときはうれしかった」

 ――趙は昨年9月に負傷し、今年もまだ試合に出られない状態が続いています。

 「練習にも参加できず、ストレスがたまり、いら立っているときもある。愚痴を聞いてあげられるのもぼくだけだと思い、聞き役に徹しています。彼も早く復帰したいと思っているし、なんとか力になりたいと思います」

 ――今後、どんな通訳になりたいですか。

 「J1昇格や、リーグ優勝したときに、チームに貢献したと思えるようになりたい。そのために、韓国のことをもっと理解して、ネイティブに近づけるよう努力したいです」

<略歴>
 1979年11月1日生まれ。父母ともに在日韓国人で、東京都生まれの札幌育ち。北海道朝鮮初中高級学校を卒業。2009年、チームに韓国人選手が加わったため、知人を通じて通訳に。朝鮮学校時代はサッカー部に所属し、札幌の試合を観戦に訪れたことも。

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