# 小数点以下の扱い 『日本暦日原典』に記載はされていないが、実際の計算から推定した手順を記載する # 小数点以下の切り捨て 小数点以下桁数を2桁で四捨五入し、その後で小数点以下を切り捨てる これは次の誤差が生じたことで判明した ## 誤差一覧 `-` が『日本暦日原典』の結果を指す ### 儀鳳暦 * 大宝 2年 ``` - 5 大 丁卯 3-1129 702 5 31 (12)22-138 (11)6-1185 + 5 大 丁卯 3-1128 702 5 31 (12)22-138 (11)6-1185 ``` * 養老 3年 ``` - 閏7 小 丁巳 53-767 719 8 20 (17)7-478 + 閏7 小 丁巳 53-768 719 8 20 (17)7-478 ``` ### 大衍暦 * 神護景雲 2年 ``` - 5 小 甲辰 40-632 768 5 21 (12)8-363 (11)52-2739 + 5 小 甲辰 40-633 768 5 21 (12)8-363 (11)52-2739 ``` * 仁寿 2年 ``` - 10 大 癸亥 59-1781 852 11 15 (22)0-2538 (23)16-162 + 10 大 癸亥 59-1782 852 11 15 (22)0-2538 (23)16-162 ``` ### 宣明暦 * 天暦 2年 ``` - 7 小 戊申 44-8274 948 8 8 (16)53-690 (17)8-2525 + 7 小 戊申 44-8275 948 8 8 (16)53-690 (17)8-2525 ``` * 仁平 2年 ``` - 354日 3 小 丙申 32-1497 1152 4 7 (8)41-2025 (9)56-3860 + 354日 3 小 丙申 32-1496 1152 4 7 (8)41-2025 (9)56-3860 ``` * 承久 2年 ``` - 庚辰 2 小 壬戌 58-7037 1220 3 7 (6)7-3693 (7)22-5529 + 庚辰 2 小 壬戌 58-7038 1220 3 7 (6)7-3693 (7)22-5529 ``` * 安貞 1年 ``` - 8 大 丁未 43-5913 1227 9 12 (18)46-6506 (19)1-8341 + 8 大 丁未 43-5912 1227 9 12 (18)46-6506 (19)1-8341 ``` * 永享 10年 ``` - 12 大 辛亥 47-2832 1438 12 17 (2)15-1196 (1)59-7760 + 12 大 辛亥 47-2833 1438 12 17 (2)15-1196 (1)59-7760 ``` ## 調査結果 月の運行を求める際に生じた、小数点以下桁数による誤差である 宣明暦で言えば、第14表を引き当てるための大余小余がずれている まず、この大余小余は11月とそれより後の月で元となる値が異なる * 11月の場合は [宣明暦](../senmyou.md) の `月の進退から月の運動の補正値を求める` に記載の通りである * それより後の月の場合は 弦を4回ずつ加算することで得られる 仮に閏月がない年とした場合、11月に弦を4回足せば12月、8回足せば1月といった求め方をする この大余小余のうち、小余の小数点以下と、秒を小余に置き直した結果を合算し、小余に繰り上げる処理を行なっているが、この繰上げが噛み合っていない zakuroでは次の表の合算値を切り捨てているが、『日本暦日原典』では切り上げている ### 儀鳳暦 |小余|小余(秒 / 12)|合算| |:----|:----|:----| |950.4999913|0.5|950.9999913| |390.7499913|0.25|390.9999913| ### 大衍暦 |小余|小余(秒 / 80)|合算| |:----|:----|:----| |1697.921259|0.075|1697.996259| |2656.833759|0.1625|2656.996259| ### 宣明暦 |小余|小余(秒 / 100)|合算| |:----|:----|:----| |6291.709782|0.29|6291.999782| |361.9497818|0.05|361.9997818| |5470.569782|0.43|5470.999782| |4552.089782|0.91|4552.999782| |2161.659782|0.34|2161.999782|